電磁誘導の問題解説!やるべきことは公式利用、それだけ!!
前回は電磁誘導とは?というところを解説しました。今回は実際に電磁誘導の問題を解いてみましょう!
AKINORI
電磁誘導についてはこちらをチェックしてください!
電磁誘導のポイントはズバリ
磁束の変化
です。
磁場の変化ではなく、磁束の変化です。
そして、磁束が変化すると回路には起電力が生じるのですが、この起電力は
- 大きさ
- 向き
と二つのステップを分けて求めていきましょう!!
問題
図のように、下向きに一様な磁場が生じている。回路には抵抗\(R\)がついていて、長さ\(L\)の金属棒PQは回路上を滑らかに動くことができる。この金属棒を一定の速さ\(v\)で左向きに動かす。
(1) 生じる起電力の大きさを求めP,Qのどちらの電位が高いかを求めよ
(3) 金属棒が一定の速さ\(v\)で動くために必要な外力の大きさと向きを求めよ。
(4) 時間\(\Delta t\)の間に、外力がした仕事と、抵抗で発生したジュール熱をそれぞれ求めよ。
(1)磁束の変化は何で決まる?
さっそく起電力を求める問題が来ましたね。まずは大きさを求めるんですね!
AI
起電力の大きさはファラデーの電磁誘導の法則を使えば良いですね。今回、巻き数が1なので
\(|V| = |\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}|\)
です。
では、\(\Delta t\)の間の磁束の変化を考えてみましょう。
金属棒PQを図の向きに一定の速さ\(v\)で引っ張るので、\(v\Delta t\)の距離だけ動きますよね。
つまり、色のついた部分を貫く磁束が\(\Delta \Phi\)に当たるわけです。
磁束は
\(\Phi = BS\)
つまり、「磁束密度×面積」
ですので、
\(\Delta \Phi = B\cdot v\Delta t L\)
ということで起電力は
\(|V| = |\frac{Bv\Delta t L}{\Delta t}| \)
∴\(V = vBL\)
と書けますね。
次は向きですね。
AI
今、下向きの磁束が増えているので、回路は上向きに磁束を作ろうとします。
上向きに磁束を作るには、電流は上から見て
反時計回り
に流れる必要があります。
ということで向きはP→Q向きですね。
まとめると、
起電力:\(V = vBL\)
電位:Pの方が高電位
(2)電流が流れると、金属棒は力を受ける!
(1)で金属棒に電流が流れることが分かります。ってことは・・・
AKINORI
金属棒は力を受けるんですね!
AI
電流が受ける力は
\(F = IBL\)
です。
この力がかかるので、これにつり合うように外力を加えないと
一定の速さ\(v\)で動かすことができませんね。
なので、まずは電流を求めましょう。
キルヒホッフの法則から
\(V – IR = 0\)
∴\(I = \frac{vBL}{R}\)
ですね。
金属棒が磁場から受ける力の大きさは
\(F = IBL = \frac{vB^2L^2}{R}\)
です。
向きは、「FBIは左利き」でしたね。
なので、求める外力は
大きさ:\(F = \frac{vB^2L^2}{R}\)
向き:左向き
(3)結果は「エネルギー保存則」を示す!!
これは普通に計算しましょう。
外力がした仕事ですが、
今回の外力は一定ですよね?
つまり「力×距離」として求めることができるわけです。
\(\Delta t\)の間には距離\(v\Delta t\)の距離を力の向きに進むので
\(W = F\cdot v\Delta t = \frac{(vBL)^2}{R}\Delta t\)
と仕事は表せます。
一方ジュール熱は
\(Q = IVt\)
と書けます。
これについてはこちらを見てください。
今まで求めた\(I, V\)を代入すれば
\(Q = \frac{(vBL)^2}{R}\Delta t\)
と表せます。
あれ?外力の仕事とジュール熱が等しい?なんで?
AI
これはエネルギー保存則を考えれば当たり前のことなんだ
AKINORI
金属棒が外力から仕事をされれば「エネルギー原理」から、運動エネルギーが変化するはずですよね?
ですが、\(v\)は一定ですから、運動エネルギーは変化していません。
これだと
「外力がしたことで生まれたエネルギーがどこに行っちゃったの??」
ってなりますよね?
このエネルギーは
起電力を作り電流を流すエネルギーに変わっています。
そして、このエネルギーは抵抗に対して仕事をして、ジュール熱として変わっています。
外力の仕事→ジュール熱
となっているわけですね。
ですから、答えが同じになるのも当然なんです。
なるほど!つまりはエネルギー保存則ってことですね。
AI
いかがでしたか。
基本は、
磁束が変化するところに起電力あり
です。
電磁誘導と来たら、使える式はファラデーの電磁誘導の法則
\(V = -N\frac{\Delta \Phi}{\Delta t}\)
です。
あとは、大きさ→向きという順番で求めればOKです。
電磁誘導の問題も良く問われます。しっかりマスターしておきましょう!!
Comment
⑴の話、向きはP→Qだけど、高電位なのはPじゃなくてQなのでは?