くし形コンデンサーの問題を解説します!

 

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オンライン物理塾長あっきー。高3秋から1か月で40点点上げ、センター試験では満点を取り、その経験を活かし塾講師として活躍。塾・学校・参考書の内容やカリキュラムに違和感を感じ数多くの高校生を救うため、大学2年生で「受験物理Set Up」を開設。多くの高校生が活用するサイトに発展し、現在「合格への道」で勉強法に特化した受験サポートを行う。

今回は、コンデンサーの演習問題をしていこう!!

くし形コンデンサー

今回扱うのは、「くし形コンデンサー」っていうものです。

「くし形」だから何か特別なことをするわけじゃないんですけど、コンデンサーをしっかり理解できていないと解けません。

頑張りましょう!!

 

問題

面積Sの4つの金属板を図のように並べる。金属板WとY、XとZは導線でつながっており、WとX、YとZの間隔はともにDであり、XとYの間隔はdである。また真空の誘電率を\(\varepsilon_0\)とする。WのX側の表面には電荷Q(>0)が現れるとして、次の問いに答えよ。

(1) WX間の電場の大きさを求めよ。

(2) XY間の電場の大きさを求めよ。

(3) XのY側に現れる電荷を求めよ。

(4) YのZ側の電荷を求めよ。

(5) WとYを一方の極板、XとZをもう一方の極板としたときのコンデンサーの電気容量を求めよ

(セミナー物理2016  問454)

 

今回のポイントは次の3つ

  1. 「一周した電位=0」
  2. 向かい合う電荷の大きさは同じ
  3. 合成容量の求め方

 

まずは自力で解いてみよう!!

 

何にも手が付かない人は次の記事をチェックしよう

コンデンサー

コンデンサーの問題必勝法

 

解答

(1)

これは、コンデンサーの超基本的なことです。

ガウスの法則が分かっていれば解けます。一応ガウスの法則をおさらいしておこう。

詳しく理解するにはこちらをチェック。

ついでに確認!

電場とガウスの法則

ガウスの法則とは・・・

「電場E = 1[m2]あたりの電気力線の本数」

です。

ちなみに、電荷Q[C]から出る(入る)電気力線の総本数は\(4\pi kQ\)本です。

ですから、今回の問いの電場\(E_{WX}\)はこう書けるわけです。

\(E_{WX} = \frac{4\pi kQ}{S}\)

今回は、真空の誘電率\(\varepsilon_0\)を使わないといけないんですが、

\(\varepsilon_0 = \frac{1}{4\pi k}\)と書けます。

ですので、

\(E_{WX} = \frac{Q}{\varepsilon_0 S}\)

が答えですね。

 

(2)

ここで、使うのはポイントの1,2です。

  1. 「一周した電位=0」
  2. 向かい合う電荷の大きさは同じ

ここで、注意してほしいことがあります。

確かに、向かい合う極板の電荷の大きさは同じです。

でも、実はこれって厳密ではないんですよね。なので、ここで修正しておきます。

「向かい合う極板の表面の電荷は同じ」

この表面ってのが重要です。

よく見れば、Xの上下で電荷の大きさを変えていますよね。一見

\(Q_X = Q\)

って感じになりそうですよね。でも、これは違います。

XはZと導線でつながっていますから、電荷はXとZを自由に行き来できるんですよ。

だから、Xで必ずしも上下で電荷の総和が0になる必要がないんだ。

もし、XがZとつながっていないのであれば\(Q_X = Q\)です。(ただ、その場合極板間隔は同じになるよ)。

 

ま、それが分かったところで、後は「一周した電位=0」とすればいい。

\(-V_{WX} – V_{YZ} = 0\)

\(V_{YZ} = -V_{WX}\)

さて、コンデンサーには一様な電場が生じているよね。

なので、\(V_{WX} = E_{WX}・D\)、\(V_{XY} = E_{XY}・d\)となるわけだ。

ついでに確認!

電位

∴\(E_{XY}・d = -E_{WX}・D = -\frac{QD}{\varepsilon_0 S}\)

\(E_{XY} = -\frac{QD}{\varepsilon_0 Sd}\)

このマイナスってのが次の問いで重要になります!!)

今回は大きさを聞かれているので

\(|E_{XY}| = \frac{QD}{\varepsilon_0 Sd}\)

が答えです。

(3)

さて、これは(2)がしっかり解けていれば問題ないです。さっき\(E_{XY}\)、つまりXY間の電場がマイナスで出ていたよね。

これは、自分で考えていた電場の向きとは逆だったって意味なんだ。

ってことは、BのC側の電荷は実は\(-Q_B\)と、マイナスの電荷だったってことだ。

だから、今回の問いでは、マイナスで答えないといけないってこと。

これに気を付けていれば大丈夫。

というより、しっかりした解き方ができていれば、こんな感じで勝手に答えが出るから安心してね。

 

(1)と同様、ガウスの法則を使えば(わかりにくいので、とりあえず大きさだけ)

\(| E_{XY} |= \frac{Q_X}{\varepsilon_0 S}\)

∴\(Q_X = \frac{QD}{d}\)

実際は\(-Q_X\)が答えとなるので

\(-Q_X = -\frac{QD}{d}\)

これが答えですね。

(4)

これは(1)~(3)と同じことをすればいいだけだ。

求めたいのは\(Q_Y\)ね。

でも、同じ解説をするのはつまらないので、ちょっと工夫します。

この図を180度回転させてみてください。

・・・

最初の状態と似すぎじゃん!!

どれくらい似てるかっていうと、電荷の符号がすべて逆になっているだけで、あとはおなじですよね。

だから、\(Q_Y = Q\)になるよね。

これが答えです。これが納得いかないならば、(1)~(3)の作業をもう一度行ってみてください。

(5)

これはちょっと難しい。

まず、問題の意味なんだけど、

たとえばWとX, YとZを互いに向かい合わせにコンデンサーを作って合成しろ

ってことなんだ。

コンデンサーの合成を行うには、とりあえず簡潔な回路にしてしまうのがベスト。

このとき、性質を変えないように変形しないといけない。

だから、「一周した電位=0」に注目して分けるといいと思う。

 

ではでは、合成容量を求めよう。

合成容量はとにかく全体を見て考えてやれってことだ。

全体で貯まる電気量は

\(Q_s = Q + Q + \frac{QD}{d} = Q\left(2 + \frac{D}{d} \right)\)

また、全体の電圧は

\(V_s = \frac{QD}{\varepsilon_0 S}\)

ってことで、\(Q = CV\)より

\(C = \frac{Q_s}{V_s} = \varepsilon_0 S \left(\frac{2}{D} + \frac{1}{d} \right)\)

 

これが答えです。

 

 

以上で、終わりです。

 

ちょっと難しかったかもしれないけど、やっていることは単純です。

やっぱり「一周した電位=0」は重要だ!!

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