【物理】コンデンサーの公式ってどう導く?コンデンサーの性質大公開!

コンデンサーのところで、\(Q = CV\)っていう公式があるじゃないですか、あと、\(C = \varepsilon \frac{S}{d}\)っていうやつも。あれってどうやって導いたんですか?
AI
これは「電場」が分かっていれば解けるよ。
AKINORI
コンデンサー。
それは電磁気分野の問題の常連である(笑)。
ほんとにコンデンサーって入試でめちゃめちゃ出てくるんですよ。入試って回路問題が大好きだから。
そこで、コンデンサーの基本的な性質をここで一気にまとめてみたいと思います。
目次
コンデンサーとは?
コンデンサーっていうのは電荷を貯めることができる装置のことで、
簡単な構造は、極板を向かい合わせに置いたもの。
極板に電荷が貯まるとお互いに引き合って電荷は動かなくなる。
つまり電荷が貯まっていますね。
これがコンデンサ―です。
じゃあ、実際にどれくらいの電荷が貯まるのか?
っていうのを考えていきたいと思います。
コンデンサ―にたまる電荷の量は?
電圧が\(V\)の電池によって、このコンデンサ―に最大\(Q\)の電荷が貯まっているとする(ちなみに、電圧は「電位差」(電位の差)のことです)。図の極板の面積を\(S\), 極板間の距離を\(d\)としてこの\(Q\)を求めよ。ただし、\(S\)は\(d\)よりも十分に大きく、かつ極板は十分に薄いため、極板が作る電場は面に垂直に生じるものとする。
コンデンサ―間の電場
\(E = k\frac{Q}{r^2}\)じゃないの?
AI
そう思いたいよね。でもそれは点電荷の場合だ。
AKINORI
じゃあどうすれば・・・
AI
どんな形状でも求める方法があったね。ガウスの法則です!!
AKINORI
基本的に電場はガウスの法則で求められます。
ガウスの法則はこちら!
今回二つの「面電荷」があるので、まずは上の極板について考えましょう。
ガウスの法則を使うときにはコツがありましたね。
「全電場が垂直に貫くように立体図形決めろ!!」
です。
今回は、ちょうど収まるように、底面積が同じ\(S\)の図のような図形を考えます。
んで、下側の電場を考えるとガウスの法則は
\(DS = Q\)
なんですが、
- \(D\)は\(D = \varepsilon_0 E\)が成り立つ
- \(S\)は電場が貫いている部分の面積
- \(Q\)は考えている図形の内部にある電荷
これに注意すると
\(\varepsilon_0 E_+\cdot 2S = Q\)
∴\(E_+ = \frac{Q}{2\varepsilon_0 S}\)
となりますね。
この時、図では図形の高さを上下に\(h\)で定めていたのですが、電場を出す過程で一切触れていませんね。
つまり電場は場所によらず一定だということです。
下側の極板も同じです。ただし電場の向きに注意してください。
このとき電荷は\(-Q\)ですが、この絶対値を考えます。
\(\varepsilon_0 E_- \cdot 2S = Q\)
\(E_- = \frac{Q}{2\varepsilon_0 S}\)
となりますね。
それぞれの電場が求まったので、これを合わせます。
このサイトではなるべくベクトルを使うようにしているので、こうやってベクトルで表記しています。
が、図を見てもわかる通り、コンデンサ―の外側では電場が逆向きで打ち消しあうので0です。
内側は同じ向きなので、強め合います。
っていうのを右に式で書いただけです。
つまり、コンデンサ―の内側に大きさ
\(E = \frac{Q}{\varepsilon_0 S}\)
の電場が下向きに生じているんですね。
ガウスの法則ってすごい!!
AI
電荷\(Q\)を表してみる
では、いよいよ電荷\(Q\)を電位差\(V\)とつなげてみましょう。
\(Q\)でコンデンサ―に電荷が貯まっているということは、コンデンサ―間の電位差も電池と同じ\(V\)ということです。
じゃあ、実際にこの電位差を求めてやればよさそうですね。
\(V = k\frac{Q}{r}\)を使えば・・・あれ?
AI
使っちゃだめだよ。これも点電荷での話。今回は点電荷じゃないね。こういうときは電位の定義に戻って考えよう。
AKINORI
電位とは・・・電場による位置エネルギー
もっと言えば
+1[C]が静電気力にされた仕事!!
ということで、+1[C]を置いてみます。
今考えたいのは「電位」そのもではなく「電位差」です。
なので、単純にこのコンデンサ―間でされた仕事を考えればいいんですね。
そして、今回、電場は見事に一定です!!
やったね!!
「力×距離」だ!!
\(V = E\cdot d = \frac{Q}{\varepsilon_0 S}d\)
∴\(Q = \varepsilon_0 \frac{S}{d} V\)
ここで\(C = \varepsilon_0 \frac{S}{d}\)と置くと
\(Q = CV\)
あ!知ってるこれ!こうやって導出するんだ!
AI
これにはいくつかポイントがあるよ
AKINORI
\(Q = CV\)のポイント
その1 \(V\)はコンデンサ―間の電位差
これよく間違えることなんですが、
この\(V\)はコンデンサーの電位差です。
まちがっても電源の電位差を使わないでください。
その2 電気容量\(C\)について
この\(C\)は電気容量といって、コンデンサ―の状態によって決まるものです。
「どれだけ電荷を貯められるか」というものを表します。
\(C = \varepsilon \frac{S}{d}\)
です。
\(\varepsilon\)は誘電率というもので、コンデンサ―の間に挟む物質で決まります。
真空の場合を強調して\(\varepsilon_0\)と書くことが多いですね。
そして、見ての通り、
- 面積\(S\)が大きいほど
- 極板間距離\(d\)が小さいほど
電気容量が大きく、電荷が貯まりやすいのが分かりますね。イメージでもわかるでしょう。
コンデンサ―のエネルギー
最後にコンデンサ―のエネルギーについて考えましょう。
例えば蓄えたコンデンサ―を豆電球につなぐと光ります。
つまり、コンデンサ―はエネルギーを持っているということです。
それはどれくらい??
っていうのを調べていきましょう。
コンデンサ―は電池によって仕事をされます。
コンデンサ―が仕事をされるってなんかイメージ湧かないな・・・
AI
そうだね。そこで、「電場と逆向きに電荷が移動する」とき仕事をされると考えてほしい。逆に、電場の向きに電荷が動くと仕事する。
AKINORI
この図は言い換えれば下の極板が正電荷を上の極板に渡すのと同じですよね。
こう考えると、電場の向きと逆向きに電荷を運ぶことになるので、コンデンサ―は仕事をされるってわけです。
そして「仕事をされればエネルギーが増える」
というエネルギー原理から
このされた仕事を考えればコンデンサ―のエネルギーが求まるわけですよ。
ということで、求めてみます。
微小電荷量\(\Delta q\)の電荷を運ぶことでコンデンサ―の電荷量が\(q\)となったとします。
この時、極板間の電位差\(v\)はさっき求めた\(Q = CV\)より
\(v = \frac{q}{C}\)
電荷が移動することで、電位差も当然変化するんですが、移動する電荷はめっちゃ小さいので、\(v = 一定\)とみなして良いです。
電場の大きさを\(E\)、極板間の距離を\(d\)とすれば
\(v = E \cdot d\)なので
\(E = \frac{v}{d}\)
よって電荷\(\Delta q\)がされた仕事は
\(\Delta w = \Delta q E \cdot d = \Delta q \frac{q}{C}\)
これは次の面積になります。
この\(\Delta q\)をめちゃめちゃ小さく、0に近づけていった長方形の面積を
0から\(Q\)まで足してあげれば、最終的に求めたいコンデンサ―のエネルギーになりますね。
それは、三角形の面積で
\(U = \frac{1}{2}QV\)
これをコンデンサ―の「静電エネルギー」といいます。
\(Q = CV\)によりこれはいろいろ変形できるので場合に応じて変形させること!!
こういう微小量を扱うことも難関大では特にあるので、慣れておこう!!
AKINORI
以上がコンデンサ―の基本的な性質です。
それでは!!