摩擦のある単振動の問題!やるべきことは一つだけ!!

 

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この記事を書いている人 - WRITER -
オンライン物理塾長あっきー。高3秋から1か月で40点点上げ、センター試験では満点を取り、その経験を活かし塾講師として活躍。塾・学校・参考書の内容やカリキュラムに違和感を感じ数多くの高校生を救うため、大学2年生で「受験物理Set Up」を開設。多くの高校生が活用するサイトに発展し、現在「合格への道」で勉強法に特化した受験サポートを行う。

単振動のところで摩擦のある問題に出くわしたんですが・・・もうさっぱり!

AI

なるほど、ちょっと複雑になった場合だね。でもね、要は単振動なんだよね?だったらやるべきことは?

AKINORI

運動方程式立てて、3ステップやって・・・

AI

そうそう!単振動の問題ならやるべきことは決まっているよね!

AKINORI

 

今日は応用問題として、「摩擦のある単振動」をやっていきたいと思います。

と「摩擦がある」とか言ってるけど、結局は単振動なわけですよ。

 

つまり、単振動の解き方

これを知っていれば何のことは無い、超簡単な問題なんです。

 

ではいきましょう!

 

単振動についてはこちらをチェック!!

単振動の問題。運動方程式を立てる流れを詳しく解説!

 

摩擦のある単振動

ばね定数\(k\)の軽いばねの一端に質量\(m\)の小物体をつけ、他端を壁に固定する。ばねが自然の長さになるときの小物体の位置を原点とし、図の右向きに\(x\)軸をとる。床と小物体との間の静止摩擦係数を\(\mu\)、動摩擦係数を\(\mu’\)とする。時刻0において、小物体は、原点を速さ\(v_0\)で\(x\)軸の正の向きに通り過ぎた。重力加速度の大きさを\(g\)とする。

(1)小物体の速度が最初に0となる時刻\(t_1\)での、小物体の位置\(x_1\)を求めよ。

(2)小物体が(1)の位置に静止せず、再び負の向きに運動するための\(v_0\)の条件を求めよ

(3)\(v_0\)が(2)の条件を満たすとき、2回目に小物体の速度が0になる時刻を\(t_2\)とする。\(t_1\)から\(t_2\)までの間で速さが最大となる位置を求めよ

(4)時刻\(t_2\)における小物体の位置\(x_2\)を、\(x_1\)を含んだ式で表せ。

(5)以降、このような運動を繰り返す。\(n\)回目に速度が0となる位置\(x_n\)を\(x_1\)を使って表せ。ただし、\(n\)は奇数とする。

 

(1)最初と最後の状態だけ→「エネルギー保存則」

原点での状態がわかっていて、速度が0になる状態について考える。このように、最初と最後の状態について考えれるときはエネルギー保存則を使うといいよ!!

AKINORI

 

エネルギー保存則は

 

(はじめの力学的エネルギー)+(非保存力にされた仕事)

=(あとの力学的エネルギー)

 

です。

 

これを使うために必要な情報を求めておきましょう。

 

  • はじめの力学的エネルギー

これは運動エネルギー\(\frac{1}{2}mv_0^2\)だけです。

 

  • 非保存力にされた仕事

今回の非保存力は動摩擦力です。

今回は、右向きに動くのに対し、動摩擦力は左向きです。

つまり、仕事は負になります。

 

\(W = -\mu’ mg \cdot x_1\)

 

  • あとの力学的エネルギー

ばねが\(x_1\)だけ伸びて、静止しているのでばねの弾性力

\(\frac{1}{2}kx_1^2\)

だけですね。

 

あとは当てはめると

 

\(\frac{1}{2}mv_0^2 – \mu’ mg x_1 = \frac{1}{2}kx_1^2\)

∴\(\frac{1}{2}kx_1^2 + \mu’ mgx_1 – \frac{1}{2}mv_0^2 = 0\)

 

これはもう解の公式を使って解くしかないですね。

\(x_1 > 0\)ということに注すると、答えは

 

\(x_1 = \frac{ – \mu’ mg +\sqrt{(\mu’ mg)^2 + kmv_0^2}}{k}\)

 

ひや~すごい答え・・・

AI

しょうがないね。こういうこともあるから不安にならないで自信もって答えよう!!

AKINORI

 

(2)静止するor しない→最大摩擦力に注目!

これは最大摩擦力に注目すればいいんですね!

AI

 

(1)の状況を考えてみましょう。

この時、ばねは伸びていますから左向きに弾性力が働き、

左に動こうとしているので、摩擦力は右向きに働きます。

 

そして、静止する or しない

のようなことを考えるときは、その境目を考えるのがいいです。

つまり、

 

ギリギリ静止している

 

この状況を考えてあげましょう。

 

まず、静止しているから、力がつり合っていますね。

\(F_k = F_r\)

 

そして、ギリギリ静止しているというのはご存知の通り、

最大摩擦力になっているときです。

つまり\(F_r = \mu mg\)となっている

ということです。

 

なので、

\(kx_1 = \mu mg\)

さっきの\(x_1\)を代入して、整理していくと・・・

これがギリギリ静止するときの\(v_0\)です。

 

じゃあ、静止せずに動くには・・・

 

これより大きければよくないっすか?

 

ということで、求める条件は

\(v_0 > \sqrt{\frac{\mu m(\mu + 2\mu’)}{k}}g\)

 

これが(2)の答えです。

 

(3)単振動の流れをまずやってみよう!

 

\(x_1\)の位置からまた単振動をするんですよね、おそらく。ならやることは・・・

AKINORI

運動方程式を立てて3ステップをやる!!

AI

単振動については「単振動の問題。運動方程式を立てる流れを詳しく解説!」をチェック!

 

ではいきます。

 

運動方程式をまずは立てるんですが、軸はもう定められてるので、力をベクトルで表すんですね。

今回は二つの力が働きます。

 

まず、摩擦力\(\vec{F_r}\)

これは簡単で、常に右向きに働き、大きさは\(\mu’ mg\)なので

\(\vec{F_r} = (\mu’ mg)\)

です。

 

次はばねの弾性力\(\vec{F_k}\)ですね。

これは、状況によって向きが変わってしまうので、場合分けです。

 

  • ばねが伸びているとき

ばねが伸びていると、位置座標\(x\)は正です。

一方、弾性力は左向きにはたらくので、成分をマイナスにしないといけないです。

よって

\(\vec{F_k} = (-kx)\)

と書けます。

 

  • ばねが縮んでいるとき

ばねが縮んでいるとき、位置座標\(x\)は負です。

一方、弾性力は右向きなので、成分は正です。

なので

\(\vec{F_k} = (-kx)\)

と書けます。

 

ということで、場合分けせずとも

\(\vec{F_k} = (-kx)\)

と書けるんですね。

 

 

ここまでくれば、後は合力を求めて運動方程式を立てるだけです。

 

合力\(\vec{F}\)はとにかく足すんでしたね。

 

\(\vec{F} = \vec{F_k} + \vec{F_r} = (-kx + \mu’ mg)\)

 

そして運動方程式\(m\vec{a} = \vec{F}\)に成分を代入して

\(ma = -kx + \mu’ mg\)

∴\(a = -\frac{k}{m} (x – \frac{\mu’ mg}{k})\)

 

あ!来ましたね!!「\(a = -(定数)\times (xの一次式)\)」

AI

なので、単振動することが分かります。

AKINORI

 

単振動することがわかったらやるべきことが3つありました。

  • 振動の中心を求める

これは\(a = 0\)のときの\(x\)です。

\(x_0 = \frac{\mu’ mg}{k}\)

ですね。

 

  • 角振動数\(\omega\)を求める

これは\(\omega = \sqrt{定数}\)とすればよいので

\(\omega = \sqrt{\frac{k}{m}}\)

 

  • 周期\(T\)を求める

\(T = \frac{2\pi}{\omega}\)と表せるので

\(T = 2\pi \sqrt{\frac{m}{k}}\)

ですね。

 

問題には関係ないですが、周期まで求めておきました。

 

そして、単振動の速さが最大になるところですが、それは

振動の中心

です!!

 

さっき振動の中心は求めましたよね?

それが答えです。

 

\(x = \frac{\mu’ mg}{k}\)

 

ですね。

 

(4)速さが0となるところは振動の端!

これってまた(1)みたいに二次方程式解かないといけない!?

AI

いや、今回はそんなことしなくても大丈夫。速さが0のときって物体は単振動のどの位置にあるの?

AKINORI

あ!振動の端ですね!・・・そっか。振幅を求めればいいんだ!!

AI

 

速さが最大なのは振動の中心。

速さが0なのは振動の端です。

 

そして、振動の端になるの場所は

中心から振幅だけずれたところです!!

 

これが分かれば楽勝ですね。

 

 

いま考えている単振動は、スタートが\(x_1\)なので、\(x_1\)の位置が振動の端ですね。

 

つまり振幅は

\(A = x_1 – x_0\)です。

 

もう一方の振動の端\(x_2\)は中心から左に\(A\)だけずれたところですよね。

 

\(x_0 – x_2 = A\)

というわけです。

つまり

\(x_2 = 2x_0 – x_1\)

∴\(x_2 = \frac{2\mu’ mg}{k} – x_1\)

 

これが答えですね。

 

(5)代表的なものを考えてみる。

 

う~ん。難しいな・・・

AI

こういう一般に考える問題はとっかかりにくいね。そんなときは、具体的な場合を考えるといいよ!

AKINORI

 

今\(x_1 \to x_2\)という運動を考えましたね。

同じように\(x_2 \to x_3\)という運動も考えてみましょう。

 

 

同じように運動方程式を立てていきます。

今度は摩擦力は左向きに働くので

\(\vec{F_r} = (-\mu’ mg)\)

と書けます。

 

あとは全く同じです。

運動方程式を立てると

\(ma = -kx -\mu’ mg\)

\(a = -\frac{k}{m}(x + \frac{\mu’ mg}{k})\)

 

やっぱり単振動しますね。

 

中心は

\(x_0′ = \frac{-\mu’ mg}{k}\)

となっています。

 

残りのステップは同じなので省略!

さっきと同じように考えて

\(x_0′ – x_2 = x_3 – x_0’\)

∴\(x_3 = -\frac{\mu’ mg}{k} – x_2\)

 

 

となります。

 

っていうのをどんどん繰り返していくんですね。

 

んで、\(n\)は奇数なので、図の赤丸が付いたところを一般的に求めるんです。

 

 

で、運動方程式を立てるの式は、往復回数に依らずに同じです。

 

右→左と移動するときは

\(ma = -kx + \mu’ mg\)

 

左→右と移動するときは

\(ma = -kx – \mu’ mg\)

 

と回数に関係なく、こう表せます。

そして、具体的に位置ついて

次のように表せていましたね。

 

なら、\(n\)についても成り立ちますよね。

だって、運動方程式は同じように立てられるんですから。

 

\(x_{n + 1}\)を消去して整理すると

 

\(x_{n + 2} = x_n – 4\frac{\mu’ mg}{k}\)

 

これはつまり・・・

 

\(x_1\)から始めて

\(\frac{n-1}{2}\cdot (-4\frac{\mu’ mg}{k}\)

\(= -2(n -1)\frac{\mu’ mg}{k}\)

だけ小さくなる。

ということなので

 

\(x_n = x_1 – 2(n – 1)\frac{\mu’ mg}{k}\)

 

と表せます。

 

*もしくは・・・

初項\(x_1\)、公差\(-4\frac{\mu’ mg}{k}\)の等差数列の一般項は

\(x_n  = x_1 + (n -1 ) (-4\frac{\mu’ mg}{k})\)

です。

今回は\(x_{n +2}とx_n\)の式で、項は半分なので

\(n-1を\frac{n-1}{2}\)に置き換える。

 

このような考え方でもOKです。

 

 

最後は難しかったけど、それまではそんなに大したことなかったな~

AI

そうだね。単振動でやるべきことをきっちりやれば摩擦が来ても関係ない!ってことだね。

AKINORI

 

 

 

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