【物理】モーメントの問題の解法はたった1つ!剛体のつりあいを考えよ

どうも!オンライン物理塾長あっきーです
オンライン物理塾長あっきー
モーメントで出てくる「〇:△に内分するから・・・」という説明があったんですが、全然意味わからないです。
リケジョ志望のAIさん
今回はこのような悩みを解決していきます。
結論から言うと、内分や外分を考える必要は全くありません!!
モーメントの問題は非常に簡単で、つり合いだけを考えれば問題はすべて解けてしまいます。
この記事では、モーメントの問題をたった1つの解法で解けるということを説明していきます。
最後まで読んで、モーメントを攻略しましょう!!
モーメントの定義→2つの注意点
剛体の問題の解法はたった1つ→つりあい
目次
剛体とは?
モーメントの話をする前に剛体について説明します。
今まで考えてきた物体は「質点」と呼ばれていて、質量は考えて大きさは考えないでいました。
しかし、実際はどんな物体でも大きさがあります。
そこで、大きさも考慮した物体の運動を考えていきたいんですね。
現実の物体は力が加わるとへこんだりして形が変わります。そうなると計算が複雑になってしまうので、力を加えても変形しない物体のことを剛体と呼びます。
以降はこの剛体を扱っていきます。
力のモーメントとは?
質点は大きさがなかったため、並進運動だけを考えればOKでした。
止まっている物体に力を加えればその方向に動き出します。何も疑わないですよね。
しかし、剛体では話が変わります。大きさがあるため、力の加え方によっては回転が起こってしまいます。
剛体では「回転運動」と「並進運動」の両方を考えなければいけないのです。
この「回転運動」について登場するのがモーメントです。
モーメントは「剛体を回そうとする能力」のことです。
力の大きさ\(F\)、基準点から力の作用線までの距離を\(L\)とすると、基準点周りの力のモーメントは
\(M = FL\)
モーメントはこのように定義されます。
モーメントには注意点が2つあります。
モーメントには正負がある
モーメントにも正負があります。今までは軸を取って同じ向きなら正、逆向きなら負と定めていました。
同じように回転する方向に軸を取って正負をきめます。
回転に関しては暗黙の了解として
反時計まわりが正
という決まりがあるので、今後はこれにしたがっていきます。
距離は作用線までの距離
ここがよく間違えるポイントです。\(M = FL\)の\(L\)は「作用線までの距離」です。
よくある間違いとして、次のように求めちゃう人がいます。
力が斜めにかかっているときに、単純に\(FL\)と求めちゃだめです。
これだと「作用点までの距離」になっちゃいますね。
実際は図のように力を一直線に伸ばしたものに、垂線を引いた\(F\cos{\theta}\)を使うべきです。
\(M = F\cos{\theta}\)
よくあるミスなので要注意です。
今は力をそのまま使いましたが、力を分解しても考えることができます。
これでも同じようにモーメントが求められますね。
モーメントの基準点は好きに取れる
モーメントを求める際には基準点を好きに取っていいです。
モーメントの問題はこの後説明しますが、つりあいしか問われません。
その時、モーメントの計算が楽になるような基準を取ると良いですね。
基準点は「力がたくさんはたらくところ」が良いです。
その理由は基準点にはたらく力のモーメントは0になり、計算が楽になるからです。
剛体のつりあい
モーメントを知ったところで、剛体の運動を考えていきます
・・・
と言いたいところですが、剛体の運動はある決まったパターンしかでません。
それはつりあいです。
質点の運動であれば、等加速度運動や円運動、単振動などさまざまありましたが、剛体では静止つまりつりあいしか問われません。
理由は簡単で計算が高校生ではできないからです。
なので、剛体のつりあいだけを扱っていきます。
剛体のつりあい:合力とモーメントが0
最初に伝えた通り、剛体は「回転運動」と「並進運動」の2つがあります。
剛体が静止するには両方の運動を起こさなければいいのです。
並進運動は今まで通り力のつりあいを考えればいいですね。
回転運動は・・・モーメントのつりあいを考えればいいですね。
並進運動しない → 力がつり合う → 合力=0
回転運動しない → モーメントがつり合う → モーメントの和=0
この2つのつりあいを考えればモーメントの問題はすべて解けてしまいます。
楽勝ですね。
剛体のつりあいの問題
実際に1問練習してみましょう!
長さ\(0.80\)mの棒に、図のような力が働いているとする。この棒に働く力の合力を求め、図示せよ。
この問題、教科書や問題集を見ると「〇:△に内分するから・・・」という解説をよく見ます。
しかしこんな解説されても意味が分かるわけがありません!!
やるべきことたった1つです。剛体のつりあいです。
問題の条件では明らかに剛体はつり合っていませんが、仮の力を加えて剛体を静止させることを考えます。
この仮の力を求めれば、合力を求めることができますね。
力のつりあい→合力=0
まず力のつりあいを考えます。
上向きに40N、下向きに20Nはたらいているので、仮の力は下向きに20N加えればいいですね。
これで力がつり合います。
モーメントのつり合い→モーメントの和=0
次に、この合力がどこにははたらく場所を考えます。
ここでモーメントのつりあいが使えますね。
仮の力がAから\(x\)mの位置に働くとき、剛体が静止しているとすれば、あとはモーメントとつり合いを考えるだけです。
モーメントを求めるには基準点が必要ですが、ここでは点Aに取りましょう。
あとは「モーメントの和=0」として計算するだけです。反時計回りを正として計算します。
\(-20・0.40 – 20・x + 20・1.20 = 0\)
∴\(x = 0.80\)
つまり、仮の力の位置は左端から0.80mの位置に仮の力がはたらくことがわかりました。
仮の力はあくまで剛体を静止させるための力だったので、実際に求めたい合力は仮の力を逆向きにしたもの。
つまり、Aから0.80mの位置に大きさ20Nの上向きの力となります。
なるほど!複雑になってもこれなら絶対に解けそうです!
リケジョ志望のAIさん
剛体が倒れる条件もつりあいで解ける
モーメントの問題でよくあるのが「剛体が倒れる条件を求める」というものです。
摩擦力で滑り出す条件を考えたときは最大摩擦力にしたうえで力のつりあいを考えました。
倒れる条件も同じです。何か条件を付け加えて、あとはモーメントのつりあいを考えれば解けるのです。
剛体の倒れる条件の問題はこちらで解説しています!
重心を求めるときもモーメントを使う
また、重心を求める際にもモーメントのつりあいを考えます。
重心はモーメントの問題以外でも使われ、非常に大事な概念なのでしっかり学んでおきましょう。
重心の求め方についてはこちらの記事で説明しています。
まとめ:モーメントはつりあいだけ!
いかがでしたか?
剛体の問題はつりあいだけが問われます。これ以外の解法はありません。
しっかり復習して問題演習に励みましょう!
モーメント
\(M = FL\)
*\(L\)は作用線までの距離
剛体の問題
つりあいの問題だけ!!
→「力のつりあい」+「モーメントのつりあい」
オンライン物理塾長あっきーからのお知らせ!
勉強を頑張る高校生向けに2週間で力学をマスターし、偏差値を10上げるオンライン塾を開講してます!今ならすごいサポート特典もあります!
*無料の物理攻略合宿よりも充実のコンテンツです!