【物理】くさび形空気層の光の干渉を分かりやすく解説!入試だとこう聞かれる!
どうも!オンライン物理塾長あっきーです
オンライン物理塾長あっきー
光の干渉で出てくるくさび形空気層を苦手にしていませんか?そして公式なんか覚えさせられていませんか?
実はくさび形空気層は公式なんていらないし、問われる内容も決まっています。
真下から見る場合と真上から見る場合の違い、明線の間隔などなど、それほどパターンは多くないです。
この記事では、くさび形空気層の概要を教えるとともに、1発でくさび形空気層を理解できてしまう超良問をお見せします。
この1ページで入試レベルのくさび形空気層の問題も難なく解けるので最後まで読んでくださいね。
くさび形空気層の公式を導出できる
明線の見え方を説明できる
入試問題が解けるようになる
くさび形空気層とは
くさび形空気層というのは二枚のガラスを重ねることで光の干渉が見えるものです。
例題として以下の問題を解きながら干渉条件を求めてみましょう。
長さが\(L\)、屈折率\(n>1\)のガラスを厚さ\(h\)の物体を挟んで重ねる。このガラスの真上から光を照射すると、各ガラスの点A,Bで反射する光が点Cで干渉する。ガラスが接触する部分から距離\(x\)の位置での干渉条件を求めよ。ただし、光の波長を\(\lambda\)とする。
光路差を求めよう
干渉条件を求めるには光路差が必要になってきます。
まず経路差はABの往復分ですね。そして、空気中だからこれがそのまま光路差になるんですね
リケジョ志望のAIさん
その通り!良いですね!
オンライン物理塾長あっきー
二つの光についてAB間の経路に差が生まれているのが分かりますね。下のガラスまで到達する光はA→BそしてB→Aと往復しています。
ですから、ABの距離をを\(d\)を置くと経路差は\(2d\)となります。
また、この経路は空気中なのでこれがそのまま光路差になります。
このまま干渉条件にもっていきたいのですが、実際はガラスの隙間はほとんどなく\(d\)はものすごい小さいです。
なので、\(d\)を測定することってとても難しいんですね。
さらに、後で説明しますが、明線はガラスを縦に区切るように現れます。つまり、ガラスの端っこからの距離で表せた方が都合がいいです。
そこで、そこでガラスの端からの距離\(x\)を使って光路差を表してみます。
図のように\(\angle AOB = \theta\)と置けば
\(\tan{\theta} = \frac{d}{x} = \frac{h}{L}\)
となります。つまり\(d\)は次のように表せます。
\(d = \frac{h}{L}x\)
これを使って光路差は次のように書き換えれられます。
\(光路差 = \frac{2h}{L}x\)
\(x\)の式で表すことができました。
干渉条件を求める→位相変化に注意
あとは干渉条件を求めれば良いんですね。
リケジョ志望のAIさん
そう。でも今回は反射があるので位相のずれを考える必要がありますよ
オンライン物理塾長あっきー
媒質の屈折率の大小によって反射の際に位相がずれます。
屈折率が
- 小→大・・・位相が\(\pi\)ずれる
- 大→小・・・位相はずれない
それを踏まえると
点A・・・位相はずれない
点B・・・位相が\(\pi\)ずれる
となります。
なので、二つの光は位相が\(\pi\)ずれますので、干渉条件は逆になって表されますね。
くさび形空気層の干渉条件
もちろんこれは覚えるものではなく、1から導出することが大事です。
明暗の見え方
ガラスの上から見た場合、明線と暗線はこのように見えます。
詳しくはこの後の問題演習で確認しましょう。
これだけで完全理解!くさび形空気層の超良問
くさび形空気層の概要をやったのでさっそく入試問題をやりましょう?
え?いきなり入試問題ですか?
リケジョ志望のAIさん
はい!今からやる問題は入試問題ですがくさび形空気層を完全に理解できちゃう良問なのでこれだけやれば十分です。
オンライン物理塾長あっきー
図のように屈折率\(n >1\)の平板ガラス、および金属箔設置する。平板ガラスが接するところから金属箔までの長さを\(L\)、金属箔の厚さを\(D\)とする。ガラス真上から波長\(\lambda\)の単色光を照射したとき、以下の問いに答えよ。なお空気の屈折率は1.0であり、必要ならば整数として\(m\)を使ってよい。
(1) まず、ガラスの真上にスクリーンを置く。スクリーンに明線が現れる条件を示せ。
(2) (1)のとき、スクリーン上にできる干渉縞の間隔\(\Delta x\)を求めよ。
(3) ガラスの真下にスクリーンを置いたとき、明線が現れる条件を示せ。
次に図のように、上のガラスを固定して下のガラスをゆっくり下降させる。すると上側のスクリーンの明線に変化が現れた
(4) 動かす前に位置\(x\)に合った明線は左右どちらに動いたか答えよ
(5) 干渉縞の間隔は(2)で求めた\(\Delta x\)に比べてどうなるか答えよ
(6) 動かす前に位置\(x\)にあった明線は、ガラスを動かした後\(l (l<x)\)だけ移動した。このとき、下のガラスを下降させた距離を求めよ。
(物理重要問題集2019 問91改)
くさび形空気層の問題解説
干渉問題はどんな問題もやることは決まっています。
- 干渉条件を求める
- 条件式から必要な情報を抜き出す
この2ステップを意識して解いてきます。
今回の問題は(1)~(3)、(4)~(6)で状況が異なるのでこれらに分けてこの2ステップを当てはめていきましょう
問題(1) ~(3)の解き方
(1)は公式で当てはめないように
(1)は最初に見せたくさび形空気層と同じようにやればいいので省略します。結果だけ見せます。
もちろん本番は「くさび形空気層だから・・・」と公式を当てはめるのではなく、光路差を求めて、位相のずれをチェックして式を作ってくださいね。
(2) 明線の間隔は\(m+1\)番目と\(m\)番目を比較
明線の間隔を求めたいので、明線の条件式をまず「\(x=\)」の形にします。
そして、\(m+1\)番目と\(m\)番目の差を取れば明線の間隔が求めらられます。これが答えです。
(3)は(1)と同様に条件を求めればいい
(1)では真上からみた場合の干渉条件でした。今回は真下です。
このような二つの光が干渉します。
経路差は同じようにガラスの間を往復する距離\(2d\)になります。
しかし、反射による位相変化に注意が必要です。
2回反射が起こりますが、2回とも位相が\(\pi\)ずつずれています。
\(\pi\)ずれて\(\pi\)ずれるので、位相は元に戻ります。
なので、干渉条件はそのまま適用できるのです。
(1)とは逆になっていますね。つまり明線と暗線が逆転するということがここからわかりますね。
(4)~(6)の解き方
今度は状況が変化するので改めて干渉条件を先に求めておきます。
下側に\(\Delta d\)だけ動かした場合を考えます。
すると経路差は\(2d + 2\Delta d\)となりますね。
また、反射による位相差も(1)と同じで\(\pi\)ずれるので、干渉条件は逆になります。
つまり、干渉条件は次のように表せます。
これを踏まえて各問いに答えていきます。
(4) 明線の条件式を(1)と比べる
(4)は(1)と条件式と今求めた条件式の\(x\)を比較すればOKですね。
このように動かす前後の\(x\)を見比べてみると、\(\Delta d\)だけ動かしたときの方が小さくなっているのが分かりますね。
ということで「左にずれる」が正解です。
(5)は(2)と同じように\(m+1\)番目と\(m\)番目を比較する
(5)は(2)と同じように解けばOKです。間隔を求めるには\(m+1\)番目から\(m\)番目を引けばいいのです。
これは(2)と同じ結果ですので、明線の間隔は変わらないことがわかりましたね。
(6)も動かす前後で式を比較する
(6)も動かす前と動かした後で式を見比べてみます。
今回は「はじめ位置\(x\)にあった明線が\(l\)だけ移動した」という状況ですよね。
この式を見れば分かるように、\(\Delta d\)だけガラスを下降させることで\(\frac{L\Delta d}{D}\)だけずれるんですよね。
つまり
\(l = \frac{L\Delta d}{D}\)ですよね?
求めたいのは\(\Delta d\)なので、答えは
\(\Delta d = \frac{Dl}{L}\)
です。
え?これが入試問題?なんか簡単だったなぁ
リケジョ志望のAIさん
この問題ができればくさび形空気層の問題はもう大丈夫だと思うよ!
オンライン物理塾長あっきー
くさび形空気層と合わせて理解しよう
今回はくさび形空気層の説明をしましたが、学校の授業で習うものはくさび形空気層を含め4つあります。
それらも一緒に理解しておきましょう。
各干渉問題に関してはこちらにまとめておきますね。
まとめ:暗記だけは避けよう
いかがでしたか?
大事なのは暗記は絶対にしないこと。
教科書などでは干渉条件をまとめているけど、それを覚えてもしょうがないです。
干渉問題は常に2ステップで解きます。
- 干渉条件を求める
- 条件式から必要な情報を抜き出す
これを絶対に頭に入れておいてくださいね。