【物理基礎】弦の振動の公式とは?導出も問題もイメージで突破せよ!

どうも!オンライン物理塾長あっきーです
あっきー
今回は、弦の振動を学んでいきましょう!
弦の振動は正直言うとセンター試験にしか出ません。2次試験ではまず出ないです。
が、物理基礎でやるだけで影が薄い内容であるため完全に忘れてしまう人が多いです。
でも安心してください。弦の振動は常に導出できます。その方法はイメージ化です!
そして、ギターについて語れるようになります!(笑)
この記事では、弦の振動の特徴をとらえ、弦の固有振動数を求めていきます。
これを読むだけで完璧に理解できるので最後まで読んでくださいね。
弦の振動の特徴が分かる
弦の固有振動数の求め方が分かる
目次
弦の振動には特徴がある
波は媒質が振動することで発生します。
一般的には波は水面に石を投げたときのように、波を打つように広がりますね。
しかしギターなどの弦の振動をよく見ると波を打つように振動は起こりません。
弦では両端が固定されていて、振動の仕方に制限がかかってしまいます。
ですから、特定の波長、特定の振動数の波が弦では生じるのです。
これは気柱の振動でも同じことが起こります。
詳しくはこちらの記事で確認してください。
弦の固有振動と共振
弦がどのような振動を起こすのかをチェックしていきます。
ポイントは両端が固定されているということです。
弦の両端は固定→節となる
弦の両端が固定されているということは、そこの媒質は動くことができません。つまり節となるような振動しか起こらないのです。
両端が節となるような波形を考えてみましょう。
弦の基本振動
一番簡単は波形はこれですね。
この波の波長を\(\lambda_1\)、弦の全長を\(L\)とするとこれらに関して
次の関係が成り立ちます。
波の\(\frac{1}{4}\)個分を見ると分かりやすいです。\(\frac{1}{4}\)個の波が弦の全長の中でちょうど2個収まりますね。
ですから、図のように式が立てられます。
弦を伝わる波の速さを\(v\)とすれば
\(v = f\lambda\)より波の振動数はこのように表せます。
この一番単純な振動のことを基本振動と言います。
2倍振動
次は弦の間に腹が二つある場合を考えます。
この波の波長を\(\lambda_2\)とした場合、\(L\)との間にはどんな関係があるでしょう?
先ほどと同様に、\(\frac{1}{4}\)波長が4個含まれるのでこのような式が得られます。
つまりこの波の振動数は次のようになります。
この振動を2倍振動と呼びます。
3倍振動
次は弦の間に腹が3つある場合を考えます。
この波の波長を\(\lambda_3\)とした場合、\(L\)との間にはどんな関係があるかはもうわかりますね。
先ほどと同様に、\(\frac{1}{4}\)波長が6個含まれるのでこのような式が得られます。
つまりこの波の振動数は次のようになります。
この振動を3倍振動と呼びます。
弦の固有振動数は?
基本振動(1倍振動)、2倍振動、3倍振動と見てきました。規則性が見えてきたでしょうかね。
では、一般的に\(n\)倍振動における振動数を求めてみましょう。
規則性からみても分かる通り、\(\frac{1}{4}\)波長が\(2n\)個含まれます。
それを踏まえれば波長、そして基本振動数が図のように求めることができるのです。
このように、弦の振動は飛び飛びの値(整数倍)の振動数のみを取れるように振動が起こるのです。
この振動数を固有振動数と呼ばれています。
弦の固有振動数
\(f_n = \frac{n}{2L}v\)
この固有振動数のとき、弦が大きく揺れ、それ以外の振動数だとほとんど揺れない現象のことを共振と言います。
ブランコをタイミングよく合わせて漕いだり押したりすると大きく揺れる現象と同じです。
この共振は交流回路でも使われる話ですので、合わせて知っておくといいでしょう。
速さは張力と線密度で決まる
そういえば、速さ\(v\)は同じ文字を使っていましたけど、振動の仕方で変化しないんですか?
リケジョ志望のAIさん
いい質問だね。速さは振動の仕方で変化はしないんだ。代わりに張力と線密度によって変化するよ
オンライン物理塾長あっきー
ギターの弦は一本ずつ太さが異なり、チューニングによって音の調節をすることができます。
これは、音の速さを変化させることで振動数を変化させ音の高低をつけています。
弦を伝わる速さ\(v\)は張力の大きさ\(S\)と線密度\(\rho\)を使って次のように表せます。
弦の伝わる速さ
\(v = \sqrt{\frac{S}{\rho}}\)
弦が細いほど、また強く引っ張るほど大きくなります。
これを用いて固有振動数を表すとこのようになります。
つまり、弦を太く、そして緩く張れば低く太い音が出て、弦を細く、そして強く張れば高く細い音が出ることが分かりますね。
弦の振動はいくつもの振動が入り混じる
基本振動、2倍振動・・・と分けて考えました。
実際は弦を引くとこれらの振動が同時に生まれます。
音の要素には3つあるのを知っていますか?
音の高さ・・・振動数が高いほど高い
音の大きさ・・・振幅が大きいほど大きい
音色・・・波形の重なり合いで決まる
弦をはじくと、いろんな振動が起こり様々な波形が重なり合います。
ですから、ギターの音は単調ではなくきれいに聞こえるのです。
弦の振動の問題で注意すべきポイント2つ
最後に弦の振動の問題について話して終わります。
弦の振動は2次試験にはあまり出ませんが、センター試験にはバッチリ出ます。
弦の振動は難しくないのですが、2つほど注意点があります。これはよく聞かれることなので理解しておくといいです。
はじく位置で起こらない振動がある。
ギターを弾くとき、同じ弦でも弾く場所によって違った音に聞こえることがあります。
これは弦の振動で考えることができます。
例えば弦の中央を指で弾きます。
すると、この点は大きく揺れますよね。すると、本来起こるはずの振動の中で起こらないものが出てきます。
それは何でしょう?
ん~もしかした2倍振動とかかな?中央が節になってるから・・・
リケジョ志望のAIさん
鋭いね!
オンライン物理塾長あっきー
中央を弾いたのでこの付近は振動していなければいけませんよね。しかし、2倍振動、4倍振動・・・では中央が節となる波形が生まれてしまいます。これはおかしいですよね。
この2倍振動、4番振動・・・は起こらないのです。
このようにはじく位置によって起こらない振動も出てきます。
なので、波形が変わりギターの音色も変化するんですね。
他にも左から\(\frac{3}{2}L\)の位置を弾いたら・・・というのも考えて見ると良いですね。
弦を押さえることでも振動を制限できる
またギターの弦を押さえる位置を変えることでも音に変化が生まれます。
例えば弦の中央を押さえてみます。
ここでは、2つのパターンで考えます。
弦を強く押さえるとき
弦を強く押さえると、その先に波が伝わらなくなります。
つまり、押さえた点が振動の端となるのです。
この図の場合だと弦の長さが\(L\)から\(\frac{1}{2}L\)になるということです。
弦を弱く押さえるとき
弦を弱く押さえると、波自体は端まで伝わります。
しかし、押さえた部分は節にならなければいけません。先ほど弾いた場合とは逆ですね。
押さえた部分が節になるような振動だけを考える必要があるのです。
この場合なら、2倍振動、4倍振動・・・が起こります。
抑える位置によって波形が変わるのでやはり音色も変わりますね。
このようなことが問われることがあるので理解しておきましょう。
まとめ:弦の振動はイメージ
いかがでしかた?
弦の振動は図を書いてしっかりイメージすれば問題なく解けます。楽勝です。
そしてギターを使ったことない僕でも、このようにギターについて語ることもできます(笑)
しっかり理解してギターについて語れるようにしてください。
弦の固有振動数
\(f_n = \frac{n}{2L}v\)
弦を伝わる波の速さ
\(v=\sqrt{\frac{S}{\rho}}\)
弦の振動の問題の注意点
・はじく位置によって振動が制限される
・押さえる位置、押さえ方で振動が制限される