ホイートストンブリッジ回路とは?公式も合成抵抗も暗記は不要!
どうも!オンライン物理塾長あっきーです
オンライン物理塾長あっきー
ホイートストンブリッジの検流計の扱い方とか、公式とか。それに「電流が流れない=等電位」というのもいまいちピンときません!
リケジョ志望のAIさん
ホイートストンブリッジの
実は、公式だったり「電流が流れないから等電位」という話は、一切覚える必要も、疑問に思う必要もありません。
なぜなら、キルヒホッフの法則さえ使いこなせればホイートストンブリッジは理解できるからです。ホイートストンブリッジはただの直流回路です。公式なんてものは存在しません。
ホイートストンブリッジは背景を知っていると理解がスムーズにできます。
今回は、ホイートストンブリッジの原理とキルヒホッフの法則を使った問題の解法を実際に教えたいと思います。
これを最後まで読むことで、ホイートストンブリッジの問題を完璧に解くことができ、キルヒホッフの法則の使い方もマスターできます!
ホイートストンブリッジの原理が分かる
ホイートストンブリッジの公式が分かる
ホイートストンブリッジの合成抵抗が分かる
メートルブリッジの原理が分かる
目次
ホイートストンブリッジ回路とは?
まず、ホイートストンブリッジがそもそも何者なのか?これを把握しておきましょう!
結論からいうと、抵抗値を正確に求める回路のことです。
図のように、わかっている抵抗と自由に抵抗を変えられる可変抵抗を使って、未知の抵抗の値を知ることができるのです。
真ん中の導線(検流計)に電流が流れない状態になるように可変抵抗の値を変化させることで、知りたい抵抗の値を求めることができるのです。
でも抵抗値って電圧計と電流計を使って簡単に求められません?
リケジョになりたいAIさん
もちろん求められるよ。でも、それだと精度が落ちるんだ。
あっきー
もちろん抵抗に流れる電流とかかる電圧を、それぞれ電流計と電圧計を使って求めれば抵抗値もオームの法則を使って求められます。
しかし、電源から流れる電流や電圧は使うたびに下がっていくので、誤差が大きくなってしまいます。
一方ホイートストンブリッジなら、後に示すように「検流計に流れる電流を0にする」ことで抵抗の値のみで導くことができます。抵抗の値は電源の電流や電圧に影響しない分、かなり正確です。
また、「検流計に流れる電流を0にする」のも抵抗を操作するだけで、精度よく行うことができるので、精度をはるかに上げて抵抗値を知ることができるのです。
そのような背景を元に、数式で求めてみましょう!
ホイートストンブリッジ回路で抵抗値を求める
図のように、4つの抵抗があり、BCには検流計を取り付ける。検流計とは電流を向きも含めて感知できる装置である。可変抵抗の値を操作して検流計のハリが動かなくなった時、可変抵抗値を\(R_x\)とすると、4つ抵抗値の関係はどうなるか?
これは回路問題の一つに変わりはないので、もちろん・・・
キルヒホッフの法則を使います!
キルヒホッフの法則の使い方が分からない人はこちらをチェックしてください!
検流計に電流が流れない→等電位
キルヒホッフの法則を使いたいので、電流や電位差の情報を付け加えていきます。。
あれ?上は\(I_1\), 下は\(I_2\)で電流の大きさを統一していいんですか?
リケジョになりたいAIさん
今回は「検流計に電流が流れない」という状況を想定していますので、回路の上と下でそれぞれ同じ大きさの電流が流れるのです。
そして、検流計に電流が流れないことから、もう一つ重要なことがわかります。それは。。。
BとCが等電位というです。
そもそも電流が流れる理由は電位差が生じているからなんです。
水と同じです。水も傾斜があればもちろん流れます。でも、水平面だったら流れませんよね?
電位差が無かったら電流が流れるための傾斜が無いということなので、電流は流れないのです。
BCが導線だから、\(V = RI\)より\(V = 0 \times I = 0\)。つまり、電位差が0でも電流が流れませんか?と質問する人が多いのですが、検流計には抵抗があります。なので厳密には、抵抗を考慮した上で「等電位」としています。
キルヒホッフの法則を使ってみる
BC間の電位差がないことが分かりました。後は図のように、テキトーに一周して
「一周した電位=0」を使います。
すると次のような2式が得られますね。
以上二つの式を整理すればこんな関係式が出てきます。
\(\frac{R_1}{R_2} = \frac{R_x}{R}\)
ホイートストンブリッジの公式は絶対に覚えるな!
これ、学校の授業で公式で紹介されて覚えさせられたんですが、その必要ってあるんですか?
リケジョになりたいAIさん
そんなこと言われたの?その必要は全くないよ。
あっきー
これが教科書的に「公式」なんですが、キルヒホッフの法則から導けるものなのでわざわざ覚える必要はないです。
ホイートストンブリッジも結局は回路問題の一つに過ぎないので、キルヒホッフの法則で考えた方が絶対に良いです。
なので絶対に覚えないでください。
・・・
まあ、どうしても覚えたいという公式コレクターの人は、下のように覚えるといいと思います。
真ん中で分けて、見たまま分数で等式を結べば、はい完成!です。
検流計に電流が流れたらどうなるの?
今回は検流計に電流が流れない場合を考えましたよね?もし流れた場合はどうしたらいいんですか?
リケジョになりたいAIさん
もちろん、キルヒホッフの法則を使って地道に計算するしかないね。でも、まずそんな問題は出ないね(笑)
あっきー
検流計に流れる電流の値を求める問題もあります。
今まで通りキルヒホッフの法則を使えば良いですが、これに関してある裏ワザを教えたいと思います。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
ホイートストンブリッジ回路の合成抵抗
ホイートストンブリッジの合成抵抗の求め方も教えておきます。
検流計に電流が流れていない場合
ホイートストンブリッジ回路の合成抵抗は検流計に電流が流れていなければ簡単です。
\(R_1, R_3\)が直列、\(R_2,R_4\)が直列なのでこれらを合成します。
そのあとに並列で合成すればいいのでそこまで難しくありません。
これで求まります。
検流計に電流が流れている場合
検流計に電流が流れている場合は2パターンで分けられます。
「検流計の抵抗を無視できるかどうか」です。
検流計の抵抗が無視できないとかなり大変なので、ここでは検流計の抵抗が無視できる場合を考えましょう。
検流計の抵抗が無視できる場合回路はこのように変形できます。
\(R_1,R_2\)の電圧降下と\(R_3,R_4\)の電圧降下は等しくなるのです。
このように変形できる理由
検流計に流れる電流を\(I_5\)と置くと、オームの法則\(V = RI\)より
\(V = 0\cdot I_5 = 0\)
つまり、検流計の電位差は0となるのです。
検流計の電位差が0ということは\(R_1\)と\(R_2\)での電圧降下が等しくならないといけません。\(R_3,R_4\)も同様です。
電圧降下が等しいもの同士は並列接続とみなせますね。
ちなみに、検流計には電流が流れるので上下で直列接続することはできません。
ということで、並列合成をした後に直列合成をします。
このように合成抵抗を求めることができます。
メートルブリッジはホイートストンブリッジの親戚
最後にメートルブリッジというものを簡単に説明します。
メートルブリッジはホイートストンブリッジの親戚みたいなもので、やっていることは同じです。
未知の抵抗値を調べるために使う装置です。
このように既知の抵抗\(R_1\)と太さが一様な抵抗線ADを用意して点Cを抵抗線上で動かしていきます。
するとどこかで検流計に電流が流れなくなります。
その時、図のように抵抗線の左側の抵抗値を\(R_2\)、右側の抵抗値を\(R_3)とすれば、キルヒホッフの法則から導くことができます。
ホイートストンブリッジとやっていることは同じですよね。
このようにして未知の抵抗値を求めることができます。
まとめ:キルヒホッフの法則を活用せよ!
いかがでしたか?
ホイートストンブリッジはあくまで回路問題です。公式的なものをあるけど、あれは暗記するものじゃないです。
そうではなく、キルヒホッフの法則と「電流が流れない」という条件をうまく使えるかということが大事です。
Comment
矛盾しています
検流計に電流が流れない→等電位
のところで、電位差がなかったら電流は流れないと仰ってますが、
ホイートストンブリッジ回路の合成抵抗
のところの、検流計に電流が流れている場合
のところで、検流計の抵抗を無視できて、電流が流れる場合、という条件にも関わらず、検流計の電位差は0になると仰ってます。これは、「電位差がなかったら電流は流れない」に矛盾していると思いませんか?
説明をお願いします。
主ではない素人の意見ですが、参考までに…
検流計の内部抵抗は0とみなせるため、検流計ので電圧降下は起こらないという意味だと思います。
しかし、はじめの方の図のB点とC点では電位差があるため、BC間(検流計があるところ)に電流が流れます。
つまり、BC間では電位差があるため検流計に電流が流れるが、検流計では電圧降下は起こらない。ということだと思います。