定常波にも式があった?式からわかる腹や節の位置

Akinoriさん。正弦波は式で書けましたよね。
AI
そうだね。いつでも導出できるようにするんでしたね。
AKINORI
なら、定常波にも式ってあるんですか??
AI
あるよ!!実際に使えるかというと、あまり使えないけど、知っておくと理解が深まるよ。
AKINORI
定常波っていうやつはこんなやつです。
二つの波を重ねたとき、
停滞するような波ができることがある。
これが定常波です。
定常波は節と腹の位置が固定されている
みたいな性質があるんですが、それを今回は式で見てみよう!!
というのがテーマです。
波を重ね合わせると
定常波は波を重ね合わせないと起こりません。
じゃあ、波を重ね合わせるとどうなるんでしょう?
今、図のような二つの波があります。
この波は重なっていますね。
実際にはこうやって見えず、一つの波として目に見えます。
実際には、赤の実線の波が見えるわけです。
この赤の波を合成波と言います。
この波の高さはこうやって表せます。
ある点で見ると、単純に高さを足すだけです。
\(y_3 = y_1 + y_2\)
これで、赤の波のある点の高さが出ます。
波全体(波の形状)も式を足せば出ます。
ただ足すだけで合成できるってことなんですね。
AI
これを波の重ね合わせの原理とかいう、無駄にカッコいい名前がついてます(笑)。
AKINORI
似た者同士を足してみる
では、今回は形がよく似た二つの波を重ね合わせてみます。
結論からいうと、この合成波が定常波になります。
\(y = A\sin{\omega (t – \frac{x}{v})}\)、\(y = A\sin{\omega (t + \frac{x}{v})}\)と表された二つの正弦波がある。これが重なったときにできる合成波を式で表せ。
正弦波の式についてはこちらをチェック!!
この二つの波は互いに逆向きに進んでいるので重なります。
合成波はこの二つの波の式を足せば出てきます。
とりあえず足してみましょう。
\(y = A\sin{\omega (t + \frac{x}{v})} + A\sin{\omega (t – \frac{x}{v})}\)
う~ん。これ以上変形できなさそうです・・・
AI
ちょっと応用的になるんだけど、三角関数の和積公式を使ってあげるともっときれいに書けるよ。
AKINORI
ここからは数学です。
この公式(?)を知っていますか。
\(\sin{\alpha} + \sin{\beta} = 2\sin{\frac{\alpha + \beta}{2}}\cos{\frac{\alpha – \beta}{2}}\)
数Ⅱの三角関数のところで出てきたと思います。
僕は「シン足すシンはニシンの子」
って覚えています。
これを使います。
途中式は面倒なので省略しますが、計算すると
\(y = 2A\sin (\omega t) \cos{(\frac{\omega}{v}x)}\)
こんな形になります。
このsinやcosの中身が\(t, x\)でそれぞれ分かれているところが重要です。
AKINORI
この式を眺めてみましょう。
まず、後ろのcosの部分。
これは、
\(x\)のみの式になっていますよね。
つまり、位置に関するcosの式ということです。
これはいわゆる、「波形」を表します。
そして、sinの部分。
これは
\(t\)のみの式になっていますね
つまり、時間に関するsinの式ということです。
sinは-1から1の値を取ります。
これがcosの係数となっているので、これは「波の振幅」を表しています。
時間で変化するってことは、高さが時間で変わっていくってことです。
大まかな波形は変えず、高さのみが変化していく。
あ!これ定常波です!!
AI
そう。x,tが独立すると定常波になるんだ。
AKINORI
はじめの正弦波の式では、
\(y = A\sin{\omega (t – \frac{x}{v})}\)
このようにsinの中に\(t, x\)の両方が含まれています。ですからsinの値は\(t,x\)の両方が関係してきます。
一方、さっきの合成波の式は
\(y = 2A\sin (\omega t) \cos{(\frac{\omega}{v}x)}\)
このように、sinやcosの中身が\(t\)のみであったり\(x\)のみであったりしますね。
さっきはこの二つが影響しあっていたけど、今度は独立しています。
この独立している場合が定常波になるんです。
- 定常波の式
\(y = (tのみの三角関数)×(xのみの三角関数)\)
定常波には式としてそんな性質があるんですね。良いこと知った!
AI
式から見た定常波の性質
この式から定常波の性質を見ることができます。
AKINORI
定常波と言えば
節や腹の位置
ですよね。
これをさっき求めた式を使って考えましょう。
節について
まずは節です。
節って何かというと
全く振動しない点
のことです。
全く振動しないということは
どんな時刻\(t\)でも常に\(y = 0\)ということです。
さて、定常波の式を見てください。
\(y = 2A\sin (\omega t) \cos{(\frac{\omega}{v}x)}\)
これが\(t\)に関係なく常に\(y = 0\)であればいいんです。
そのためにはcosの部分が0になっていればいいですね。
\(\cos{(\frac{\omega }{v}x)} = 0\)
普通に数学でやるように解いてみると
\(\frac{\omega}{v}x = \frac{\pi}{2} + n\pi\)
ですね。
ここで、
\(\omega = \frac{2\pi}{T} = 2\pi f\)
と表せます。
また、波の基本式\(v = f\lambda\)を使えば
\(\frac{f}{v} = \frac{1}{\lambda}\)
です。
なので、式を変形すると
\(\frac{2\pi}{\lambda}x = \frac{\pi}{2} + n\pi\)
∴\(x = \frac{2n + 1}{4}\lambda\)
これが節の位置ということです。
隣り合う節の間隔、つまりn番目とn + 1番目の間隔\(\Delta x\)を見てみると
\(\Delta x = \frac{2(n + 1) + 1}{4}\lambda – \frac{2n + 1}{4}\lambda\)
∴\(\Delta x = \frac{\lambda}{2}\)
あ!間隔が\(\frac{\lambda}{2}\)!!これよく知ってる!
AI
そう。節が半波長ずつ並ぶという性質がわかったね
AKINORI
腹について
腹は何かというと
一番振動している点
のことです。
一番振動するってことはある時間\(t\)で最大振幅が\(2A\)になっているような点のことです。
そのためにはcosが1や-1を取らないと\(2A\)になりませんね。
\(\cos{(\frac{\omega }{v}x)} = \pm 1\)
∴\(\frac{\omega}{v}x = n\pi\)
さっきと同じように解くと
\(x = \frac{n}{2}\lambda\)
隣り合う腹の間隔、つまりnとn+1番目の間隔\(\Delta x\)は
\(\Delta x = \frac{n + 1}{2}\lambda – \frac{n}{2}\lambda\)
∴\(\Delta x = \frac{\lambda}{2}\)
これも知ってるやつです!!
AI
節と同様で、腹の間隔も半波長なんですね。
AKINORI
こうやって式から定常波の性質を理解することができます。
こういう式から理解する
というのも重要なスキルなので、ぜひ習得してみてください!!
まとめ
- 定常波の式
\(y = (tのみの三角関数)×(xのみの三角関数)\)
- 定常波の性質
節の間隔、腹の間隔は\(\frac{\lambda}{2}\)
Comment
この式の語呂合わせを考えました。
2cos(ωx/v)×Asin(ωt)として、
「二個目がくすぶりアシンメトリー」です。