薄膜干渉をシャボン玉で理解する!条件式求めて適用せよ!

4大光の干渉講座、今回は第二弾「薄膜干渉」をやっていきますよ!
AKINORI
第一弾ではヤングの実験をやりましたね。
ヤングの実験もそうですが、
高校生で扱っている光の干渉はあくまで例です。
これが、模試とか入試にそのまま出ることはあまりないです。
干渉条件を的確に求めて、それを使って問題を解く。
この能力を身に付けてくださいね。
目次 [hide]
反射による位相変化
薄膜干渉をやるうえで一つ、前提知識が必要なのでその解説からいきます。
それは
固定端反射と自由端反射です。
これは波が反射するときに、反射する点の状態で反射する様子が変わる
というものです。
固定端反射
固定端反射では、反射する点が固定されている
つまり
反射する点は動きません!
つまり、反射する点が「節」となるように波は反射しないといけませんね。
ということは
山は谷で、谷は山で帰ってきます。
難しくいうと
位相が\piずれる
ということです。
光で考える場合、
屈折率の大小が重要
です。
固定端は、
振動がしにくい
というイメージを持ってもらうと良いです。
そして、
振動しにくい=屈折率が大きい
と考えてもらえれば
屈折率が
小→大
のとき
位相が\piずれる!!
屈折率が「小→大」のとき固定端反射なんですね。
AI
自由端反射
自由端反射では、反射する点が固定されていない
つまり
反射する点は自由に動ける!
自由に動けるということは
反射点が腹となるように反射する
ということです。
ということは
山は山で、谷は谷で返る。
難しく言えば
位相はずれない
ということです。
光で考えると
自由端は
振動しやすい
というイメージを持ってもらうといいですね
振動しやすい→屈折率が小さい
ということで、
屈折率が
大→小
のとき、
位相はずれない
となります。
なるほど!屈折率が「大→小」のときは自由端反射になるんですね。
AI
まとめると
屈折率が・・・
- 小→大
位相が\piずれる
- 大→小
位相がずれない
これを考えた理由は干渉条件に影響するからなんですね。
これを踏まえて薄膜干渉を考えていきましょう。
干渉条件についてはこちら!
薄膜干渉
薄膜干渉の一例が「シャボン玉」です。
シャボン玉と関連付けて、薄膜干渉を考えましょう。
空気中に厚さd、屈折率n > 1の油膜を張る。この油膜に同位相で平行な二つの光を照射する。光1は経路ABCDFを屈折と反射をして進み、光2は経路EDFを反射してたどる。光1の空気から油膜へ進むときの入射角を\theta_0、屈折角を\theta_1としたとき、二つの光の干渉条件を求めよ。
どの経路を考えれば良い?
光路差を求めればいいんですよね。・・・あれ?どの経路を考えればいいの?
AI
そこが肝心なところだよね。
AKINORI
薄膜干渉ではどの経路が差になるのかを探す必要がありますね。
とりあえず、二つほど補助線を引いてみます。
図のように、垂線BB’, DD’を引きます。
そして、次の経路を考えていきます
- ABとEB’
これは二つの波が平行なので、同じ距離進んでいます。
なので、経路差は0です。
- DF
これは、二つの光が同じ経路を進んでいるのでもちろん経路差は0です。
- BD’とB’D
これは、こちらの記事を読んでください。
屈折の法則を使ってみます。
速さが、空気中と油膜中でそれぞれv_1, v_2だとすると
屈折の法則から
1・v_1 = nv_2
∴nv_2 = v_1
一秒間で考えたとき、
BD’ = v_1
B’D = v_2
となります。
つまり
n×BD’ = B’D
ということです。
これって・・・
光路差が同じ
ってことじゃないですか?
屈折率×距離=光路差
ですからね。
光の干渉では経路差ではなく、光路差を考えるので、
この部分の光路差が同じなら、ここは考える必要はないということです。
つまり、考えるべき経路は
D’CD
です!!
光路差を求める
D’CDの長さか・・・ちょっと工夫しないとだめそうですね。
AI
そうだね。そこで、CDを下側の境界で折り返してみよう!
AKINORI
求めるのは赤の実線のD’C’ですね。
こうすると求められそうですね。
折り返しているだけなので、DC’の長さは2dですし、
平行線の錯角から、\angle D’C’D = \theta_1です。
△D’CDに注目すればよさそうですね。
AI
なので
D’C’ = 2d\cos{\theta_1}
と表せます。
・・・
が、これは経路差です。
実際には光路差を考える必要があるので
油膜の屈折率nを掛けてあげます。
光路差 = 2nd\cos{\theta_1}
もちろん、このままでもいいのですが。\theta_1というのは測定しにくいです。一方\theta_0は自分で調整できるし、実際に測りやすいです。なので\theta_0で表しておきましょう。
AKINORI
屈折の法則から
1・\sin{\theta_0} = n\sin{\theta_1}
∴\sin{\theta_1} = \frac{\sin{\theta_0}}{n}
また、これは数学の話になるのですが
\sin^2{\theta_1}+ \cos^2{\theta_1} = 1
という公式があります。有名ですね。
これを使うと
\cos{\theta_1} = \sqrt{1 – \sin^2{\theta_1}}
∴\cos{\theta_1} = \sqrt{1 – \frac{\sin^2{\theta_0}}{n^2}}
ということで、これをさっきの光路差に代入してあげると
光路差 = 2d\sqrt{n^2 – \sin^2{\theta_0}}
と表すことができます。
干渉条件→位相変化に注意
あとは干渉条件を当てはめればいいんですね!!
AI
ちょっと待って!!今回は反射があるよね。その時の位相変化に注意だよ。
AKINORI
干渉条件は逆位相だった場合、条件が反転しますね。
ですから、反射による位相変化には注意が必要なのです。
光1は点Cで反射していますね。
屈折が「大→小」なので
位相はずれません。
光2は点Dで反射していますね。
屈折率が「小→大」なので
位相が\piずれます。
つまり、光1,2は
互いに逆位相
なんですね。
イメージはこんな感じ、
ということで、干渉条件が逆になるので、まとめると
- 明線:2d\sqrt{n^2 – \sin^2{\theta_0}} = (2m + 1)・\frac{\lambda}{2}
- 暗線:2d\sqrt{n^2 – \sin^2{\theta_0}} = 2m ・\frac{\lambda}{2}
もちろん、問題によって条件は変わりますので、覚えてはいけません。
自力で干渉を導けるようにしてくださいね。
シャボン玉の見え方がわかる?
この干渉条件からシャボン玉の見え方を考えることができます。
AKINORI
その1 太陽光で虹が見える?
シャボン玉って見方によって虹色に見えるときがあります。
太陽光は白色光なので、いろんな色の光、つまりいろんな波長の光を含んでいます。
例えば、dが一定で、角度\theta_0を大きくとどうなるでしょう。
左辺は小さくなるので、右辺、つまり波長も小さくなります。
波長が小さいということは、色は青や紫に寄るってことですね。
実際はシャボン玉の油膜は場所によってことなるので、きれいな虹にはなりませんが、式からこういう解釈はできますね。
その2 てっぺんではどう見える?
もう一つ。てっぺんではどう見えるのでしょう?
油膜は重力に引っ張られて下に落ちていくので、てっぺんでは油膜がかなり薄くなります。
なのでd = 0とみなしていいですね。
さて、左辺が0となるわけですが、
左辺が0となっていいのは、どちらの条件でしょう?
わかった。暗線の方ですね。m = 0とすればいいんです!
AI
もし、暗線の条件ならm = 0で成立します。
が、明線ではm = -\frac{1}{2}でないと成立しません。
しかしmは整数でないといけないのでこれは反しています。
つまり、てっぺんでは
暗く見える
ということがわかります
このように、自力で干渉条件を導いて、その条件から現象を説明する。これが重要なのでよく練習しておこう!
AKINORI
はい!わかりました!!
AI