【高校物理】微小量の扱い方。仕事などで微小変化させるときのコツ!

 

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この記事を書いている人 - WRITER -
オンライン物理塾長あっきー。高3秋から1か月で40点点上げ、センター試験では満点を取り、その経験を活かし塾講師として活躍。塾・学校・参考書の内容やカリキュラムに違和感を感じ数多くの高校生を救うため、大学2年生で「受験物理Set Up」を開設。多くの高校生が活用するサイトに発展し、現在「合格への道」で勉強法に特化した受験サポートを行う。

Akinoriさん。たまに、いやよく「微小量」を扱う問題を見るんですよ!「微小変化させると・・・」。この時ってどう対処すればいいんですか?

AI

微小量ね。今日は実際に微小量の扱い方を勉強しよう!

AKINORI

 

高校物理では微小量を考えて議論することが多いです。

入試問題でも出るし、何かを導出、特に仕事ではこの微小量が重宝します。

入試問題ではおそらく誘導があるんですが、ある程度知識があるといきなり出てきてもスムーズに対応できるので、今日は微小量の扱い方をマスターしていきましょう!!

 

微小量って何?

 

そもそも微小量っていうのは問題ではこう書かれています。

「微小距離\(\Delta x\)だけ変化させると・・・」

 

これがまさに微小量です。

 

本当に小さい数ということです。

0.00001

みたいな数だと考えてもらってOKです。

 

\(\Delta \)には「微小変化」っていう意味合いがあるので、微小量にはよく\(\Delta \)を使います。

 

 

では、この微小量をどう扱っていけばいいのか?

いまからすべて公開します!!

微小量その1:面積計算

じゃあ、実際に微小量を扱う練習をしてみよう!まずはこれ。「面積計算」です。

AKINORI

 

まずは

面積計算

です。

 

面積と言えば仕事ですよね。

 

というわけで、仕事を微小量をつかって求めてみます。

 

1次の微小量

例として「ばねの弾性エネルギー」を考えてみましょう!!

 

今、ばね定数\(k\)の物体が位置\(x\)、つまりばねが\(x\)だけ伸びている場合を考えます。

ばねの力が原点までした仕事を\(W\)とすると、

 

エネルギー原理より

\(0 + W = \frac{1}{2}mv^2\)

ですね。

 

 

そして、右辺は「エネルギー」ですので、このばねがした仕事\(W\)もエネルギーと考えたいわけです。

 

よって、この\(W\)を「ばねの弾性エネルギー」と定めましょう!!

 

じゃあ、具体的に\(W\)を求めたいんですが・・・

 

「力×距離」としちゃだめなんですよね。ばねの弾性力は伸びで変わっちゃうから。

AI

お!よく気づいた!

AKINORI

 

ばねの弾性力の大きさは

\(F = kx\)

 

と書けます。

\(x\)はばねの伸びですね。

 

ってことは、物体が動くたびにばねの弾性力は変化しちゃうわけですよ!!

 

そこで、登場するのが「微小量」です。

 

 

弾性力が\(x + \Delta x\)から\(x\)までにする仕事を考えましょう!

 

まず、動く向きと力の向きが同じなので、仕事は正。

ここまではOKですね。

 

そして、この区間の弾性力の大きさなんですが

この場合

一定とみなして良いですね

 

なるほど!\(\Delta x\)は微小量なので、\(\Delta x\)程度の変化だったら無視していいんですね!

AI

 

ばねの伸びが0.0000001

だけ変わったとしても、弾性力はほとんど変化しないですよね。

なので、この区間では

\(F = kx\)

という一定の大きさの力が働きます。

 

力が一定なら「力×距離」で表せますね。

 

なので、この区間にした仕事\(\Delta W\)は

\(\Delta W = kx\cdot \Delta x\)

 

さて、これをグラフにもっていきたいと思います。

 

 

今求めた\(\Delta W \)は図の長方形の面積と同じですよね?

 

一か所しか考えていませんが、これをいろんな区間をとってみると、似たような長方形が階段状に並びます。

 

これを\(oからX\)まで並べれば、求めたい仕事が求まりそうですね。

 

実際には\(\Delta x\)はとにかく小さく、つまり\(\Delta x \to 0\)を考えないといけません。

 

すると、\(0からX\)までの三角形になりますよね?

 

この面積を求めると

\(W = \frac{1}{2}kX^2\)

 

となるわけです。

 

というわけで、改めて\(X\)を\(x\)に置き換えてあげれば、弾性エネルギーは

\(U_k = \frac{1}{2}kx^2\)

 

とあなたが知っている式になるわけですね。

 

なるほど!

AI

ちなみにこの考え方がまさに積分です。詳しくは「区分求積法」で調べてください。数Ⅲでもやります。

AKINORI

 

ポイントは

微小量変わっても、一定だよね!!

ってことです。

 

二次の微小量

 

では同じように、今度は万有引力の位置エネルギーを考えてみましょう!

AKINORI

 

全く同じように、エネルギー原理を使うと

 

\( 0 + W = \frac{1}{2}mv^2\)

 

なので、やっぱりこの\(W\)をエネルギーとして扱いたいわけですよ。

 

ということで万有引力がした仕事を求めます。

 

万有引力の大きさは

 

\(F = G\frac{Mm}{r}^2\)

と表せます。

 

\(r\)が二物体の距離なので、やっぱり場所によって変化します。

なので、単純に「力×距離」と表せませんね。

 

そこで、図のように、

正の向きに\(\Delta x\)だけ動かすときの万有引力のした仕事を考えます。

 

まず、力の向きと動く向きが逆なので、仕事はです。

 

そして、この微小区間を考えると、やっぱりほんのちょっとの変化だったら

\(F\)は一定と考えても良いですよね?

 

つまり

\(F = G\frac{Mm}{x_i^2}\)

としてもOK

ということです。

 

なので、「力×距離」で仕事\(\Delta W\)を求めると

\(\Delta W = -G\frac{Mm}{x_i^2}\Delta x\)

 

これは次の長方形の面積です。

 

面積にプラスマイナスはないのですが、図のように\(x\)軸より下の面積を負と定めます。

 

さっきのようにこれをならべて\(\Delta x \to 0\)を考えればいいのですが、さっきのような三角形のような図形にはなりませんよね。

 

 

 

そこで、こう考えます。

 

\(x_i, x_{i+1}\)はほとんど変わらない量ですから。

\(x_i^2 = x_ix_{i+1}\)

と考えても良いですよね?

すると仕事は

\(\Delta W = -G\frac{Mm}{x_ix_{i+1}}(x_{i+1} – x_i)\)

\(\Delta W = -GMm(\frac{1}{x_i} – \frac{1}{x_{i+1}}\)

 

これを踏まえて

位置\(x_0\)をスタートとして\(x_n\)まで足していけば

\(x_0からx_n\)まで万有引力がした仕事が導けます

 

 

\(W = -GMm \{ (\frac{1}{x_1} – \frac{1}{x_2}) + (\frac{1}{x_2} – \frac{1}{x_3}) + … + (\frac{1}{x_{n-1}} – \frac{1}{x_n})\}\)

 

∴\(W = -GMm(\frac{1}{x_1} – \frac{1}{x_n})\)

 

こう表せます。

基準点を無限遠、つまり\(x_n \to \infty\)に取れば、

\(\frac{1}{x_n}\)は消えます。

 

というわけで、改めて\(x_1 = r\)として、整理すると

\(U = -\frac{GMm}{r}\)

 

これが万有引力のエネルギーです。!!

 

ちょっと難しい近似があったけど、やってることは「微小量なら一定でいい」ってことを使っただけですね。

AI

そうだね。これは電位のところでも使える話だよね。

AKINORI

 

*ちなみに

きれいな図形だから面積が求まらないという話でしたが、これは積分なので、積分ができれば後半の話はいらないです。

数Ⅲを習っていればできる積分ですが、高校物理では積分をあまり使いたくないので、こういうことをやりました!!

 

微小量で使える近似式

 

では、最後に微小量が出てきたときによく使う近似式を教えておきます。これは問題文に書かれることですが、確認しておきましょう!!

AKINORI

 

\((1 + \alpha)^n\)の近似

一つ目はこれです。

\(\alpha\)が1より十分小さいとき

\((1 + \alpha)^n = 1 + n\alpha\)

 

例えば、\(X\)が\(\Delta x\)よりも十分に大きい\((X << \Delta x)\)というとき、

\(X + \Delta x)^2\)

=\(X^2(1 + \frac{\Delta x}{X})^2\)

 

Xは\(\Delta x\)より十分大きい\(\frac{\Delta x}{X}\)は1より十分小さいと言えます。

つまり

\(X^2(1 + 2\frac{\Delta x}{X})\)

\(=(X^2 + 2X\Delta x\)

 

と書けます。

 

微小量同士の掛け算は0

これは例えば微小量\(\Delta x\)について

\((\Delta x )^2 = 0\)

が成り立ちます。

 

\(\Delta x\)はただでさえ小さいのに、それをもう一回掛けたらとんでもなく小さいですね。

つまり、無視していいってことです。

 

\(\alpha\)が十分小さいときの三角関数

これはsin, cos, tanについてですが、

これにも近似式が成り立ちます。

\(\alpha\)が十分に小さい、つまり0に近いときは、

\(\sin{\alpha} = \tan{\alpha} = \alpha\)

\(\cos{\alpha} = 1\)

 

 

いかがでしたか?

微小量を使った話はいろいろ出てきます。

重要なのは

微小量を使うと何かが一定

 

これを意識していくと良いですね。

 

 

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